ドローンの国家資格はいつから?費用や試験内容は?民間試験との違いも解説
多くの人たちにとって身近になったドローン。それをさらに加速させるかのように、ドローンに関するさまざまな法整備が進められています。ここでは、多くのユーザーが気になっているであろうドローンの国家資格について、開始される時期や費用、試験内容、さらには取得のメリットや民間資格との違いなどについて、初心者の人にも分かるように詳しく網羅しながら説明していきます!
※本記事は2022年11月度に公開されている情報を元に作成しております。
ドローンの国家資格はいつから開始される?
これまで、ドローンに関する資格は民間団体が行っているもののみでした。しかし2021年3月の閣議決定にて、2022年12月5日(月)からは国家資格としてドローンの免許制が施行されることになりました。
新たに創設される資格は、「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」の二種類です。
民間資格と国家資格の違い
ドローンに関する民間資格は、現在でも多くの民間団体から様々な名称で運営・実施されています。ドローンの操縦・飛行にあたってはこうした資格の保有が法律上の義務として課されているわけではありませんが、民間資格を保有していることで国土交通省への申請が受理されやすいといったメリットも考えられます。
それでは、新たに登場するドローンの操縦・飛行に必要な国家資格には、民間資格と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
上述したように、創設される国家資格には「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」があります。
一等無人航空機操縦士
「一等無人航空機操縦士」の資格を保有することで、従来では禁止されていた「有人地帯上空における補助者なし目視外飛行」(いわゆる“レベル4飛行”)の申請が可能となります。すなわち、国家資格の保有者は人が多い場所であってもドローンの飛行をサポートする者を配置することなく、なおかつドローンの機体を自分の目で見ずにカメラを通じて操縦することができるようになります。これが民間資格と国家資格との大きな違いのひとつです!
ただし、2022年12月の国家資格の登場によって直ぐに取得・飛行が可能になるというわけではありません。レベル4飛行が可能になるまでには、安全性の確保や制度の構築・確立などにある程度の期間を要すると考えられています。
二等無人航空機操縦士
「二等無人航空機操縦士」の資格では、レベル1飛行〜レベル3飛行が許可されます。操縦技術や知識でいえば、現状の民間資格と同等のレベルに該当します。
なお、国家資格が創設された後も民間資格は継続されるため、取得した民間資格が失効したり不要になる、または新規での取得ができなくなるといったことはありません。
ドローンの国家資格を取得することのメリット
ドローンの国家資格を取得する上で最も気になることのひとつといえば、「国家資格の取得によってどのようなメリットがあるのか」ということかもしれません。これに関しては、最も大きなメリットが上述の「レベル4飛行」が可能になるという点です。これまで禁止されていたレベル4飛行、すなわち有人地帯上空における補助者なしの目視外飛行が可能になるということで、ドローンの新しい可能性が切り開かれることになります。
近年では空撮をはじめ、農業や物流、または測量に至るまで多くの分野でドローンが導入・活用されていますが、これらは主に無人地帯や補助者がいるといった特定の条件下に限定されていました。それが国家資格の取得によってレベル4飛行が可能となることで、新しいニーズ(=これまで依頼したくてもできなかったニーズ)が生まれることになります!
なお、有人地帯上空での補助者なしの目視外飛行が許可されているのは一等の国家資格保有者のみであることから、まさに資格取得者の“独占業務”となります。また、それ以外の依頼であっても、国家資格(特に一等)を保有していることで依頼者からの信頼が得られ、それだけ多くの業務の依頼が期待できるようになります!
ドローンの国家資格取得の流れ
国家資格の創設の目的のひとつは、ドローンを飛行させるために必要な知識や能力を証明することにあります。資格取得のための試験は、国が指定する試験機関によって行われます。資格取得の主な流れとしては、「①講習を受ける」「②試験に合格する」となります。
①講習を受ける
講習は、国が指定した登録講習機関によって行われます。指定機関は約1,400ある民間のドローンスクールのうち、要件を満たしたものに限られます。講習ではドローンの飛行に関する知識や操縦方法などを学びます。
②試験に合格する
試験は、上述の登録講習機関のように国が指定した試験機関によって行われます。試験の公平性や中立性の観点から、実施するのは全国で1法人のみです。試験には「身体検査」「学科試験」「実地試験」がありますが、講習の修了者については実地試験が免除されます。身体検査に関しては、公的免許証の提出でも可とされています。
ドローンの国家資格の試験内容について
試験の受験者は、ドローンの民間資格を保有している場合は「経験者」に分類され、そうでない場合は「初学者」に分類されます。すなわち、創設されたばかりの資格とはいえ、全ての受験者が同じスタートラインから始めるというわけではない点に注意が必要です!
講習の内容
「初学者」と「経験者」の分類によって、学科と実地のそれぞれの講習の必要受講時間が異なります。
初学者 | 経験者 | |
学科:一等無人航空機操縦士 | 18時間以上 | 9時間以上 |
二等無人航空機操縦士 | 10時間以上 | 4時間以上 |
実地:一等無人航空機操縦士 | 【基本】50時間以上【目視外】7時間以上 | 【基本】10時間以上【目視外】5時間以上 |
二等無人航空機操縦士 | 【基本】10時間以上【目視外】2時間以上 | 【基本】2時間以上【目視外】1時間以上 |
学科試験の内容
学科試験は、全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT方式が想定されています。学科試験の概要は、以下の通りです。
・形式:三肢択一式(一等無人航空機操縦士:70問、二等無人航空機操縦士:50問)
・試験時間:一等無人航空機操縦士:75分程度、二等無人航空機操縦士:30分程度
・試験科目:操縦者の行動規範、関連規制、運航、安全管理体制、限定に係る知識など。
・有効期間:合格後3年間
実地試験
実施試験の要領案に関しては、2022年の7月に公表されています。これによると、受験者は試験実施要領に記載された手順に従って飛行し、試験員は要領通りに飛行できているかを確認します。
「基本手動操縦」では特定の地点まで直線で飛行し、「応用手動操縦」では機首を進行方向に向けて8の字を描くように飛行します。
実地試験では、操縦試験に加えて口頭試験等も実施されます。試験科目は、「飛行前準備」「基本/応用手動操縦」「自動操縦」「緊急操作」「飛行後措置」等です。
講習の修了者については、実地試験は免除されます。
ドローンの国家資格を取得するための費用は?
ドローンの国家資格の取得を考える上で、気になるのが費用です。しかし、現時点では費用に関する正式な発表はありません。とはいえ今後の取得を考えるのであれば、自動車の運転免許のように必ずしもすぐに用意できる金額でないことを想定し、少しでも早い段階で費用を貯めておくことが大切です。
それでは、具体的にはどれくらいの金額を貯めておけばよいのでしょうか。ひとつの目安としたいのが、民間資格を取得するためにかかる費用です。費用を抑えて受験できるものであれば3,000円程度ですが、費用がかかるものであれば技術証明証の取得に300,000円ほどかかります。
民間資格を保有していると国家資格の取得に必要な講習の一部が免除されることを考えると、民間資格を保有していない場合の費用はそれ以上と考えておくとよいかもしれません。すなわち、国家資格の取得にあたっては、費用が総額で200,000円〜400,000円がひとつの目安と考えられます。なお、国家資格には一等と二等があり、一等のほうが費用がかかると想定すると、二等で300,000円前後、一等で500,000円前後が妥当な目安といえるでしょう。
これらはあくまで、現在の民間資格の取得にかかる費用から算出した仮定の金額です。今後、国から正式に発表されることになりますが、たとえ高額であっても受験に差支えがないようお金を貯めておくことが大切です。
ドローンの国家資格取得にあたって知っておきたいこと
これまでに見てきたもの以外にも、国家資格の取得にあたって押さえておきたい点がいくつかあります。主なものとしては、以下の3つが挙げられます。
①講習を行う機関について
国家資格化されるドローンですが、資格に関する全ての過程・工程が国によって運営されるというわけではない点に注意が必要です。たとえば、既存(もしくは新設)の民間資格の管理団体が国の指定を受けた「登録講習機関」となり、資格試験受験者はこれらの民間の機関で講習を受け、試験への合格を目指すことになります。
指定の機関になるには一定の条件を満たす必要があり、それゆえ機関によって行われる講習の範囲や段階に違いがあります。たとえば、「二等のみの講習が可能な機関」もあれば「一等までの全ての講習が可能な機関」もあり、さらには「技能の証明の更新に必要な講習だけを行う機関」も創設予定です。
②「国家資格でできること」と「国家資格でなくともできること」
ドローンの国家資格の登場によって、今後は特定の条件下でドローンを操縦・飛行させる際に資格の保有が必須となりますが、必ずしも全てのケースにおいて資格が求められるというわけではありません。上記で少し触れたように、現時点では「有人地帯上空における補助者なし目視外飛行」(いわゆる“レベル4飛行”)が禁止されています。このレベル4飛行を実現させるために、今回の国家資格が導入されたという背景があります。これは言い換えれば、レベル4以下の飛行であれば従来通り国家資格の保有(すなわち免許の取得)の必要なくドローンを飛行させることが可能であることを意味しています。
③年齢制限について
国家資格取得のための年齢制限については、「航空法等の一部を改正する法律」の第132条45項にて、技能証明の申請をすることができない者として「16歳に満たない者」と規定されています。すなわち、ドローンの国家資格を取得するためには16歳以上である必要があります。民間資格の操縦士やインストラクターの受験資格が15歳〜18歳以上であることを考えると、大きな違いはないといえるでしょう。
民間資格の取得は必要ない?
国家資格の取得を考える上で、民間資格の取得の意義についてもあらためて明確にしておくことが大切です。国家資格を取得するのであれば民間資格が不要であると考えられがちですが、実は国家資格を取得する場合であっても、事前に民間資格を取得しておくことにメリットがあります。
大きなメリットのひとつとしては、民間資格を取得している場合は国家資格の取得に必要な講習の時間が短縮されるという試験上の優遇措置を受けられるという点が挙げられます。
上述したように、ドローンの国家資格では受験者を「初学者」と「経験者」に分類して異なるプロセスで試験が行われます。この点、ドローンの民間資格保有者は「経験者」に分類されるため、資格取得に必要な講習時間が初学者よりも短く済むようになります。併せて、必要な講習時間が短くなることから費用も安くなるというメリットがあります。
具体的には、二等無人航空機操縦士の場合であれば民間資格の保有者であれば最短で1日で講習を終えることも可能です。これに対して民間資格を保有していない場合は、最短でも3〜4日かかるとみられています。
試験以外のメリットとしては、民間資格を保有することでドローンに関する能力の証明になるため、ドローンを飛行させる際に国土交通省などへの飛行許可申請が通りやすくなる可能性があるという点が挙げられます。
他にも、ドローンを活用した仕事を行う場合にクライアントから一定の信頼や評価が得られ、それだけ仕事に繋がりやすくなることも考えられます。
まとめ
ドローンに関する従来の民間資格では、主にドローンスクールにて講習や実技を修了した際に資格や修了証が発行されていました。これら民間資格は、資格を保有していないからといってドローンの操縦・飛行ができないということではありません。しかし今後、ドローンの国家資格が進むにつれて、国家資格を保有していなければ一定の操縦・飛行に制限がかかることになります。それほどに。国家資格の意義は大きなものといえるでしょう!
まだ動き始めたばかりのドローンの国家資格。これまで民間資格に関する情報はインターネットなどで多くみられましたが、国家資格となると情報が少ないのが実情です。さらなる情報が公表されるまで、ドローンの技術を磨き、知識を深めておくことが大切です。
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